月でうさぎが餅つきをしているというのは日本での言い伝えですが、海外では事情が違いますよ。
海外では「かに」だったり別の動物だったりします。興味深いですよね。
今回は、世界の人たちにはどんな見え方があるのか紹介します。
月はヨーロッパでは何に見える?
日本では、「餅をつくうさぎ」ですが、世界ではどのように見えるのでしょうか。まずはヨーロッパを紹介します。
- 南ヨーロッパ では「大きなはさみを持つかに」
- 東ヨーロッパでは、「木につながれたロバ」、
- 北ヨーロッパのバイキングには「水をかつぐ男女」
- 北欧神話では「マーニに連れ去られた天秤棒を持つ子供たち」
この北欧神話はどのようなものかというと、ムンディルファリという男性がいて、彼に生まれた2人の子供が非常に美しかったので、娘の名前をソール(太陽)、息子の名前をマーニ(月)と付けました。
ところが神々はこれに怒り、二人の子供を捕らえて、馬車の御者(馬車に乗って馬を操る人)をさせました。
マーニは月の運行と満ち欠けを司どりソールは太陽の運行をつかさどります。
月は常にハティという狼に追われているので、追いつかれないように急いで運行しなければなりません。マーニは地上で天秤棒を担いでいる二人の子供を見つけて月へ連れ去ったという話です。
- ドイツ では月にいるのは「薪をかつぐ男」
- オランダでは「悪いことをして幽閉された男性」
- ギリシャ では「ゴルゴネイオン(メデューサの首)」
ちょっと怖い話になりますが、メデューサと言うのはギリシャ神話に出てくる恐ろしい容姿の怪物で、瞳に映した者を石にしてしまう力があるものとして描かれています。
しかし、この恐ろしい怪物も結局ペルセウスにやられてしまいます。
ペルセウスはメデューサの首を持って帰る途中に一人の美少女が命の危険にさらされているのを見つけ、彼女のためにケートスという海の怪物と戦います。
ところが自分の剣では太刀打ちできないのでメデューサの首を取り出し、ケートスを石に変えてその美少女を救い結婚します。
このメデューサの首がどうして月と結び付けられているのかまではわかりませんでしたが、美少女を救った功績と考えられたのかもしれませんね。
ポーランドでは「月に昇ったトファルドフスキという魔術師」、あるいは「聖ゲオルギオスが片膝でバイオリンを弾いている姿」に見えるようです。
聖ゲオルギオスは巨大なドラゴンを退治したという伝説上の人物です。
その伝説によるとドラゴンがいる近くに住む人々は災厄から逃れるために毎日2匹ずつ羊を捧げていました。
ところが羊をすべて捧げてしまい、こんどは人を捧げることになりました。
誰を差し出すかを決めるためにくじを引いたところ王の娘がくじに当たってしまいました。
困り果てた王は代わりに宝石を差し出しましたが、受け入れられませんでした。そこに通りかかったゲオルギオスが剣でドラゴンを退治したという話です。
その他の地域でも
- 「キャベツ畑の泥棒」
- 「本を読む人」
- 「かぼちゃを食べる男性」
などに見えるようです。日本とはだいぶ違いますね。かぼちゃを食べる男性に見えるのはローマ神話に基づいています。
その男性は神の怒りに触れて月へ追放されました。
課せられた罰はカボチャを食べ続けることというものです。月はカボチャでできているので食べ続けると月が欠けていきます。
ところが食べ終わると、神がまた月を大きく戻してしてしまうので、男性はまた食べ続けなければなりません。
永久に続く罰が課せられているというちょっと残酷な話です。この神話は月の影ではなくて満ち欠けに着目している点ではユニークですね。
アジアでの見え方は?
今度はアジアに目を移します。
- インドでは「ワニ」
- モンゴルでは「犬」が月の中にいます。
モンゴルでは犬はとても大事にされているので、犬は月に住んでいることになっています。親は子供が嘘をつくと月の犬が吠えているということがあるようですね。
- インドネシアでは「編み物をしている女性」
- ベトナムでは「大きな木の下で休む男性」
これはベトナムの昔話に基づいているようですね。
ある男性は毎日森で働いていて、働き終えると一本の木の下で疲れを取るために休んでいました。その木の葉は薬にもなるもので、その木の下で休むのはとても気持ちのいいものでした。
男性は木のために毎日水やりをしていて、奥さんにもこの木を大事にするようにと色々注意を与えていました。
ところが、ある日奥さんは間違えてごみを木に与えてしまいました。
すると、木はどんどん大きく成長していきました。それで、びっくりした男性はすぐにその木に飛びつきました。
その木は月まで伸びで男性は今でも月の中の木の下で休んでいるということです。
- カンボジアでは、「杖を持ったおじいさんが菩提樹の木の下で座っている姿」
- ラオスでは、「米搗きでお米を挽いているおばあさん」
- アジアのある民族の間では「天秤棒と桶を担いだ娘」
ということになっています。
その他の海外での見え方は?
ブラジルでは、月には「龍と聖人のサン・ジョルジュが住んでいる」と言われています。狩りの名手でもあるサン・ジョルジュには月の龍を退治したという伝説があります。
- マヤ民族 は、「ほら貝の殻をもった老人」
- 北米の先住民族 は「バケツを運ぶ少女や農具を持つ男」
- アラビア では「ほえているライオン」
月の影は神話や伝説、日常の身近な生活や動物などいろいろなものにたとえられているんですね。
私は、うさぎでもなく、ライオンでもなく、人でもなく、「かに」にしか見えませんでした。(おわり)
“月の模様が「かに」に見えるって?世界では他にどんな見え方がある?” への1件のフィードバック