うさぎは草食動物です。
ですから肉類は食べません。
うさぎの補助食品としてのペレットも主な原料は牧草です。なぜ草だけ食べて生きていけるのか。
食物繊維をキーワードに、そんな不思議を紐解いていきます。
草と食物繊維
草=食物繊維というイメージがありますが、例えばうさぎの食べる牧草チモシーを例に挙げると、食物繊維の他にたんぱく質などもちゃんと含まれています。
たんぱく質は人間を含めて、生きる上で大事な栄養素。
牧草を食べていても1割弱ぐらいは、たんぱく質が摂れるんです。
ただ生きる上では、もっと栄養素が必要になってきます。
草に含まれる食物繊維も栄養素に替えていく必要があるんですね。
食物繊維は人間の場合に当てはめると、消化・吸収することができない難消化性の物質です。
人間の場合、消化・吸収されません。
消化されないということは、低カロリーであるということですし、エネルギー源になりません。だから、人間にはダイエットにもよいとされているんですね。
こんな難消化性である草を食べて生きていけるうさぎ。
草食動物は牛や馬が当てはまりますが、草ばかり食べていても体がデカいです。その不思議の謎は、消化器系の仕組みにあります。
うさぎと食物繊維
うさぎは草食動物ですから、草を食べます。
草の主な成分はセルロースといわれるものです。セルロースは水に溶けない不溶性。
水にも溶けない物質を食べて栄養にしていける不思議の謎ですが、これは腸の仕組みにあります。
うさぎの盲腸はとっても大きく、ここに微生物が住んでいます。この微生物がセルロースを発酵分解して、うさぎの栄養としているのです。
ここで作られたたんぱく質などが、うさぎの栄養となっています。
ただ盲腸で作られた栄養は、糞となって出てしまうんです。
糞となってしまってはどうしようもないと考えるかもれませんが、うさぎはこれを食べます。
そうです、糞を食べるんです。
これは「盲腸便」といわれるもので普通のコロコロの便とは違います。粘膜で包まれたような感じで小さな玉が連なっているような感じです。
小腸で栄養を吸収できる分は吸収して、その他はこれを食べて栄養を補完しているんですね。
さて、食物繊維は他の役割もあります。
草食動物は腸が長いのが特徴。
それはうさぎにも当てはまります。牧草などの食物繊維を食べることで、消化器系を動かす役割もあります。
食物繊維が足りないと胃腸うっ滞になりかねません。胃腸うっ滞とは、体内で消消化器がうまく機能せず、体に詰まってしまうことです。
食物繊維は、その役割としても機能しますよ。
食物繊維の豆知識
食物繊維と言われてもざっくりとしていて詳しくは分かりにくいものです。
食物「繊維」だからスジ状のものが、そうであると思ってしまいがち。
しかし、食物繊維は必ずしもスジ状のものと限りません。
- 水溶性(水に溶ける)
- 不溶性(水に溶けない)
のものがあるんです。
例えば以下のものが当てはまります。
- 不溶性・・・野菜、豆類、穀類
- 水溶性・・・こんにゃく、わかめ、昆布、キャベツ、大根など
水溶性のものは、ヌルヌルとした物質とかサラサラした物質も食物繊維としてあてはまるんです。
人間にとって食物繊維の働きは、
(不溶性)
- 水分を吸収して便の容積を増やす
- 有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出する
- 善玉菌が増え、腸内環境が改善される
(水溶性)
- 血糖値の上昇を抑える
- コレステロールを吸着し体外に排出
- ナトリウムを排出する
- 善玉菌が増え、腸内環境が改善される
水溶性は水に溶けるとゼリー状になります。そうなると、腸の中で他の栄養素の吸収の速度を緩やかいにしてくれるのです。
※参考文献:健康長寿ネット
まとめ
うさぎと食物繊維について紹介しました。
栄養がなさそうな草でも微生物の力を借りて栄養あるものにしています。
自分の糞を食べるのも驚きですが、そうして栄養を摂っていますよ。
腸の働きをよくする効果もありますから、やはり牧草は大事な食事になってきます。(おわり)