「うさぎおいしかのやま」という歌を小学校の頃習いましたよね。
「こぶなつりしかのかわ」と続きます。フレーズは頭の中にあるけど、意味はちょっと分からない・・・なんてことはありませんか?
昔の歌で、言い回しが古いから分かりにくいのですよね。
さて、この歌の題名は「故郷(ふるさと)」です。1914年、文部省唱歌として発表されました。歌詞と意味を紹介しますね。
歌詞と意味について
歌詞
1
兎追ひし彼の山(うさぎおいしかのやま)
小鮒釣り彼の川(こぶなつりしかのかは)
夢は今も巡りて(ゆめはいまもめぐりて)
忘れ難き故郷(わすれがたきふるさと)
2
如何にいます父母(いかにいますちちはは)
恙無しや友がき(つつがなしやともがき)
雨に風につけても(あめにかせにつけても)
思ひ出づる故郷(おもひいづるふるさと)
3
志を果たして(こころざしをはたして)
いつの日にか帰らん(いつのひにかかえらん)
山は青き故郷(やまはあおきふるさと)
水は清き故郷(みずはきよきふるさと)
意味
1,野兎を追ったあの山や、小鮒を釣ったあの川よ。今なお夢に思い、心巡る忘れられない故郷よ。
2,父や母はどうしておいでだろうか、友人たちは変わりなく平穏に暮らしているだろうか。風雨(艱難辛苦の比喩とも)のたびに、思い出す故郷よ。
3,自分の夢を叶えて目標を成就させたら、いつの日にか故郷へ帰ろう。山青く水清らかな故郷へ。
引用:wikipedia
「うさぎおいしかのやま」は「野うさぎを追ったあの山」という意味です。
大人になって、やっと意味が分かったという人も多いのではないかと思います。幼い頃だと、昔の言葉は分かりづらいですからね。
そして「うさぎおいし」は「うさぎ美味し」と勘違いしている人もいます。本当は「追いし」の方です。
また「いつの日にか帰らん」も間違いやすい所です。
今の言葉でいうと「わしゃ、帰らん!」で帰らないという意味ですが、これは昔の歌です。
帰らんの「ん」は、助動詞の「む」と一緒です。古典文法で、推量・意志・適当・勧誘・婉曲・仮定の意味があります。
この場合では意志の「む」で「~しよう」という意味ですね。なので「(いつか故郷へ)帰ろう」となります。
あと、「友がき」も分かりにくいですね。漢字に直すと「友垣」。
「友人」という意味です。
交わりを結ぶことを、垣根を結ぶのに例えていった言葉です。
作詞作曲は誰?
1914年発表の、この唱歌。作詞作曲はこの二人がしています。
- 作詞者・・・高野辰之
- 作曲者・・・岡野貞一
高野辰之は長野県出身で国文学者、作詞家。岡野貞一は、鳥取県出身で作曲家です。
この二人で作詞作曲した唱歌は他にもあるんですよ。
- 春が来た(春が来た、春が来た~)
- 春の小川(春の小川は、さらさら行くよ~)
- 朧月夜(菜の花畠に、入日薄れ~)
- もみじ(秋の夕日に、照る山紅葉~)
皆、小学校で習った歌です。とても馴染み深い歌ですね。
うさぎを追った山はどこ?
この歌は、高野辰之が幼少時代に過ごしたふるさとを思い浮かべて作ったとされます。
そのふるさとは、現在でいうと長野県中野市。長野県の北部に位置するところです。
そこでの懐かしい思い出を歌にしたんですね。
- 兎追ひし彼の山(うさぎおいしかのやま)・・・大平山(おおひらやま)
- 小鮒釣り彼の川(こぶなつりしかのかは)・・・班川(はんがわ)
大平山で野うさぎを追って、班川で小鮒を釣った思い出。彼にとっては、とっても楽しかったのでしょう。
唱歌と童謡の違いは?
「ふるさと」は童謡ではないの?と思うかもしれません。子供の時に歌ったから童謡なのかなと思ってしまいますが、これは唱歌です。
似て非なるものなのです。
- 唱歌・・・昔(明治時代~戦前)の学校教育で作られた歌
- 童謡・・・広い意味で子供向けの歌
では、唱歌は童謡に含まれるの?と考えてしまいますが、厳密には違います。歌の種類の紹介でも、唱歌・童謡・わらべ歌・・・と区分けして紹介されるはずです。
1910年(明治43年)から1941年(昭和16年)の教科書に載っていた曲、これらを文部省唱歌といいます。
まとめ
家に帰れない寂しさと将来の希望が織り交ざった名作。今と違って、交通が発達していないのですぐに田舎に帰れなかったのでしょう。
「ふるさと」は日本人にとっては心に染みわたる歌ですね。
「うさぎおいしかのやま」は、「野うさぎを追ったあの山」という意味です。
参考になさってください。