ピーターラビットと不思議の国のアリス。
どちらもうさぎが出てくるお話で世界中から親しまれています。
この二つを詳しく知っていくと、意外に共通点が多いことが分かります。さて、その共通点とは?
不思議の国のアリスとの共通点
作者の出身国
作者の出身国はどちらもイギリス。
- ピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターはロンドン出身
- 不思議の国のアリスの作者、ルイス・キャロルはイギリスの真ん中あたりに位置するチェシャー州という所が出身
ルイス・キャロルは女性のような名前をしていますが、実は男性。
そして、これはペンネームなんです。本名は「チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン 」です。
ビアトリクス・ポターの方は本名で女性ですよ。
作品の年代が近い
ピーターラビットは、ある少年に宛てて書いた絵手紙が元になっています。それが1893年です。
正式に本となったのが1902年。
一方、不思議の国のアリスの方は1865年に発刊されています。
30~40年程度差で、かけ離れているとはいえないでしょう。
モデルが実在
ピーターラビットの方は、作者が飼っていたうさぎの名前が「ピーター」と「ベンジャミン」でした。
物語に、どちらもその名前が登場しています。
不思議の国のアリスの方は、作者の知人の少女である「アリス・リデル」がモデルとなっています。
リデル家の三姉妹(ロリーナ・アリス・イーディス)の真ん中の子がモデルです。
どちらも子供のために即興で作られた
どちらも最初は、本を作ろうと思って書かれたお話ではありません。
ピーターラビットの最初のお話「ピーターラビットのおはなし」は、ノエル君という5歳の少年に宛てて書いた絵手紙の内容です。
病気療養中の彼を元気づけようとして書かれた内容なんですね。
一方、不思議の国のアリスの方は、キャロルがお気に入りのアリスのために即興で作って聞かせた話。
ピクニックに行って、アリスが内容を書き残して欲しいとお願いしたことが発端で、それをまとめて本にしたんです。
動物が登場人物
どちらの作品も動物が登場人物です。
逆に全くの動物だけの物語かというと、そうでもありません。アリスは人間ですし、ピーターラビットではマクレガーさんという人間が登場します。
その点も似ています。
そしてうさぎがどちらもキーとなる動物になります。
ピーターはうさぎですし、アリスのお話でも最初に出会うのはうさぎ。
うさぎを追いかけて、ウサギ穴に落ちて物語が展開していきます。
教訓的でない
この二つの物語が発刊されるまでは、教訓めいた物語が多かったそう。
子どもはこうあるべき、道徳的な観点が重きを置いていました。
しかし、この二つに関しては、即興で子どもを楽しませることだけで目的で作られたお話ですから、当時の子どもたちに人気を博したのです。
それで世界中の子どもたちに受け入れられていったのですね。
翻訳が難しい
翻訳は、ただ英語から日本語にする訳でなく、作者の意図も汲み取っていかないといけませんから難しいのは当然です。
しかし子供向けですし、二つの物語の内容としても、お父さんがパイになっていたり、狂った3月うさぎがでてきたり、現代の子どもたちにどう表現するかが難しいところでもあります。
また、英語版では言葉遊びやナーサリーライム(わらべ唄)など英語でないと面白さが分からない表現がたくさんあるので、その辺をどうするか迷うところなんです。
だから、両書とも大勢の人が翻訳してきましたが、人によってかなり違いがでてくるのが特徴なんです。
逆にいえば、翻訳者によってどのように表現するのか、その辺を見るのも「通」になってきたら面白いかもしれません。
まとめ
両作品の共通点を紹介しました。
意外とあったのではないでしょうか。
どちらも150年以上世界から愛される児童書です。機会があれば読み比べてみてくださいね。(おわり)