「いなばのしろうさぎ」という言葉は聞いたことがあるでしょう。
漢字で書くと「因幡の白兎」。
しかし、どんな話かはよく分からないのではないでしょうか。
「ワニザメ」も登場する、このお話。少し紐解いてみます。
因幡の白兎とは?
因幡の白兎は、古事記にある話です。古事記は712年の書物で日本で一番古い歴史書のこと。
上巻・中巻・下巻に分かれていて、上巻は神々の話なんです。
オオクニヌシとかアマテラスとか登場します。神々の話ですから、実在する人の話ではありません。
上巻にオオクニヌシ編があって、その中に因幡の白兎の話があるんです。
オオクニヌシが兄神たちと、ヤカミヒメという美しい神様にお嫁さんになってもらおうと、会いに行った道中での話です。
その話は後にして、まず「因幡」って何?って話です。これは地名。今でいうと鳥取県の真ん中あたりに位置する因幡国のことです。
因幡って漢字、古くは「稲羽」、「稲葉」とも書いたそう(デジタル大辞泉)。
古事記では、「稲羽の素兎」と表記されていますね。
「稲葉」といえば、B’zのボーカルは稲葉さん。稲葉さんは岡山県津山市出身。岡山県と鳥取県は隣り合っていて、津山市は鳥取県寄りの市。場所が近いんです。
推測ですが、地名が由来のお名前でいらっしゃるのかもしれません。
因幡の白兎のあらすじ
因幡の白兎のあらすじを紹介します。
昔、白兎が一匹、因幡の国の近くにある隠岐の島に住んでいました。
この白兎は、牧草がたくさんあって住みやすい因幡の国に行くことができたらどんなに幸せに暮らせることだろうか、と夢を見ておりました。
そんな時、たくさんのワニザメに出会ったのです。
白兎はワニザメに「たくさん仲間がいるんだな!オレらとどっちが多いか比べっこしない?」とワニサメを因幡の国まで一列に並ばせました。
並ばせた後、白兎はワニザメの上に乗って渡り始めました。
そして白兎はこういうのです「オレは因幡の国に行きたかったからお前らを一列に並ばせたのさ。数比べなんで嘘だよ」と。
ワニザメは怒り、仲間と一緒にうさぎの毛皮を剥いでしまったのです。
傷ついた体を白兎は休めていました。そこに旅に来た神様が二人、白兎にこう言いました。「傷ついたときは海水を浴びてあら流すといいんだよ」と。
なので白兎は海水を浴びましたが、傷口に海水が染みて治るどころか逆に傷が深くなってしまったのです。
白兎はもうダメかも…。と思ったときに現れたのがオオクニヌシ。
オオクニヌシは、白兎の姿をみて「キレイな川水で体を洗い、ガマに包まっていると傷が癒えますよ」と言いました。
白兎は言われた通りに体を洗い、ガマに包まれていると、白い毛が生えてきたのです。
白兎はオオクニヌシに助けてもらい、因幡の国でしあわせに暮らすことができました。
という内容です。(参考:道の駅 神話の里 白うさぎ)
嘘つきなうさぎに天罰が下りましたが、最後はオオクニヌシが助けてくれるという話です。最初に来た二人の神様はオオクニヌシの兄神です。
オオクニヌシは末っ子で、荷物を持たされて一番最後に遅れてやってきたのです。
オオクニヌシは心優しい神様なんですよ。
ワニザメとは?
お話に出てくる「ワニザメ」。
ワニなのかサメなのか、はたまた別の生き物なのか、よくわかりませんよね。
古事記では「和邇(ワニ)」として登場します。
だからワニなんじゃない?と思ってしまうかもしれませんが、ワニなんて日本には生息しません。
海で獰猛な生き物と言えばサメ。
これなら話が通じそうです。実際、山陰地方では、サメをワニと呼ぶんです。
ワニ説を唱える人とサメ説を唱える人がいるんです。
でもこれは神話の話。サメだろうがワニだろうが正解はでてこないでしょう。
ウィキペディアでは、和邇(ワニ)を「海の怪獣」と説明しています。ですので、その通りに空想上の生き物として捉えておけばいいでしょうね。
まとめ
ここでは、因幡の白兎の話について紹介しました。
このお話は古事記からきています。神話なんです。
ワニザメは神話の中での生き物。サメのようなワニのような空想上の生き物ですよ。(おわり)